推薦のことば(その2)[抜粋]

貴重な本である。

この本には治験の現場でしばしば発生する問題点が記載されており、
著者らの経験なくしては得られなかった内容となっている。

全ての文章に英語文例が付されていることも本書のユニークな点である。

国際共同治験に関わる読者諸兄にとっては、治験の実際について
本書から学び得ると共に、興味ある内容で英語を学習する得難い機会になるであろう。

薬剤開発は、単に海外で開発されて新薬の治験を我が国で行うに留まらない面がある。

今後、日本国民が如何に健康を維持しつつ生きていくかを、
日本経済の角度から考察した場合、新薬や医療器具のシーズの開発から始まり、
治験を完遂して病いに苦しむ患者へ届けるまでの過程を効率よく進めていくことは、
国家戦略としても重要なのである。

治験は医療の質を高めるエンジンに例えられる。
高性能のエンジンとするためには、治験に関わる一人一人のスキル向上が必須要素と
なる。

本書は国際共同治験を担う治験担当者のスキル向上に有用であると考え、
推薦の辞を供するものである。

国立がんセンター
中央病院呼吸器内科 医長
久保田 馨